子どもに対するハラスメント対策
ホイハラとは?
保育現場のハラスメントを考えるとき、最もあってはならないのが子どもに関するハラスメントですが、一番多く起こっています。
子どもの利益に寄与するように最善を尽くし、よりよい保育をしようと思うのは、保育者であれば誰でも同じですが、その保育にハラスメント(通称:ホイハラ)が直接・間接問わず混在しています。
大人という圧倒的な「優位性」を前に、しつけや保育の「範囲を超えて」かかわられても避難できず、健全に育つための「環境が阻害」されても、相談することもできません。もともとハラスメントの対象になりやすい性質を持っているのです。
ハラスメントは弱いところへ増幅しながら流れて落ちていきます。
子どもたちは、ハラスメントという状態に対して、吸収力が強く、消化力が弱く、無抵抗です。
保育環境が気になる環境になっていないか、細心の配慮で点検してまいります。
子どものハラスメントに関する法律
児童福祉法
- 第1条
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。 - 第2条第1項
全ての国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
次世代育成支援対策推進法
- 第2条
次世代の社会を担う子どもを育成し、または育成しようとする家庭に対する支援その他の次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の設備のための国や地方公共団体が講ずる施策または事業主が行う雇用環境の整備その他の取り組み。 - 第3条
家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。
ハラスメントの種類
直接直下型ハラスメント
「しつけ」とも「保育」とも異なり、子どもを嫌がらせる行動
【例】
- 子どもに対してどなる、大きな声で萎縮させ、頭ごなしに命令する。
- 手首をつかんで引っ張る、声もかけずに持ち上げて移動させる。
- 他の子どもの見ている前で罵倒する、発達の違いを指摘し辱める。
対価報酬型ハラスメント
「AをしないとBをしない」「Aをしたら(ご褒美)Bをしてあげる」といって「人参をぶら下げる」ことで誘導する保育。子どもに興味・関心を与えることで行動を促す。
間接感染型ハラスメント
【例】
- 子どもがいる前で子どもや職員を叱責する。
- 言葉がけに応答しない。
- 話しかけずに無視する。
- 顔を露骨にしかめる。
- 他の子どもや職員の悪口を子どもにぼやいたりする。
ハラスメントの予防
1.言葉がけの工夫
保育現場では否定語、禁止語、命令語などを用いらず保育をすることが必要です。
一般的な例 | 保育者の言葉がけ | |
否定語 |
|
|
禁止語 |
|
|
命令語 |
|
|
指示語 |
|
|
2.人権擁護のためのセルフチェックリスト
自己評価を行うことで自分の保育の良さや課題を捉えて、次の保育に活かすことができると考えています。
「無理なく持続できること」「一人ひとりが主体的に取り組めること」が大切です。
評価とは、過去への批判や批評、判定ではなく、未来に向けた小さなチャレンジとなる「建設的な問いかけ」です。
- 月1回 自己チェックをする。
- 年2回 園内研修にて自己チェックを行う。
人権擁護セルフチェックシート (43KB) |
人権擁護各クラスチェックシート (15KB) |
1 | ハラスメント目撃 どんなことをしていたのか記録します。 通告者 |
| |
2 | 発生時の記録 いつどこで誰が何を何のために(5w1h)したのかを記録用紙に残します。 通告者 |
| |
3 | 相談窓口に相談 園の相談役に伝えます。プライバシーの確保を配慮します。 通告者/相談窓口担当者/ハラスメント対応係 |
| |
4 | 事実関係の整理 結果を取りまとめ、事実関係を整理します。 相談窓口担当者/ハラスメント対応係 |
発生したハラスメントの検証(内部検証)
ハラスメントについて訴えがあった場合、保育園は事実関係を調査する義務があります。
1.検証の目的
ハラスメントの検証は、職員の責任追及のためではなく働きやすい環境の向上に繋げることを目的として行います。
2.組織としてのハラスメントの検証
当事者・行為者・関係者にヒアリングを行い問題解決に向けて再発防止に努めるとともに、当事者・行為者のフォローアップを行います。
3.ハラスメント防止委員会が果たす機能
- ハラスメント対応係として、目撃者の相談に応じます。
- ハラスメント研修を定期的に開催し、組織としてハラスメントを起こさない環境・対策をつくります。
- 職員に対し対策を周知させます。
- 視診やマニュアル等の見直しを行います。